保険代理店設立時に注意すべき、定款目的の記載について

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こんにちは、保険代理店向けに顧客管理システムを開発している株式会社hokanのメディア運営チームです。

すでに保険代理店を経営されている方々はもちろんのこと、これから独立して保険代理店を開業したいという方々からもよくご相談をいただきます。

今回は、『保険代理店設立時の定款目的』についてご質問をよくいただくので、保険代理店設立時に注意すべき定款目的の記載、及び事例についてお話しできればと思います。

そもそも定款とは?

まず、定款(ていかん)とは、法人の目的・組織・活動・構成員・業務執行などについての基本規約・基本規則そのもの(実質的意義の定款)、およびその内容を紙や電子媒体に記録したもの(形式的意義の定款)のことです。

定款の記載事項には主に3つあります。

  1. 絶対的記載事項
  2. 相対的記載事項
  3. 任意的記載事項

①絶対的記載事項

絶対的記載事項とは、法律の規定によって、定款に必ず記載しなければならない事項です。これらが記載されていない場合は定款自体が無効となります。

②相対的記載事項

相対的記載事項とは、法律の規定によって、定款に記載しなければ効力を持たないこととされている事項です。定款に記載しなくても定款全体の有効性には影響しません。

単に、当該事項が効力を有しないだけになります。

③任意的記載事項

任意的記載事項とは、定款へ記載しなくとも定款自体の効力には影響せず、かつ、定款外においても定めることができる事項です。重要な事項について事を明確にする目的などで定款で定めることが多いです。

定款に記載することによって、定款変更の手続きによらなければ変更できなくなるため、変更を容易にできないようにすることができます。法律の規定に違反しない限り認められます。

保険代理店を設立する際の手順は、一般的な会社を設立する際の手順とほとんど変わりませんが、2点、保険代理店開業にあたって特に注意すべき点がありますので、ご説明いたします。

定款の「事業目的」について

定款の事業目的とは、定款に必ず記載する必要があり、絶対的事項の一つである。その会社を設立するにあたり、具体的に会社で何を事業とするのかを目的として設定するものです。

事業目的は登記簿に記載されるため、その会社がどのような活動をするか社会に正しく伝える必要があります。 なので、定款の事業内容には、自社が実施する可能性のある業務を漏れなく記載しておく必要があります。

保険代理店の事業としては、次のもの等を記載しておくとよいでしょう。

  • 生命保険の募集に関する業務
  • 損害保険代理業
  • 自動車損害賠償保障法に基づく保険代理業
  • 少額短期保険業者が引き受ける保険の募集に係る業務
  • 経営コンサルタント業務
  • 資産運用に関するコンサルティング業務
  • 保険、年金その他企業福利厚生制度に関するコンサルティング業務
  • 企業経営上のリスクマネジメントのコンサルティング業務、経営相談の委託
  • ファイナンシャルプランニング業務
  • 保険会社に対する特定金融商品取引業務の委託の斡旋及び支援
  • 経営及び経営リスクマネジメント等に関するセミナーの開催
  • 事業承継対策に関するコンサルティング業務
  • 成年後見相続に関するコンサルティング業務
  • 上記各号に附帯する一切の事業

これ以外にも、証券業に進出したい、不動産業に進出したい、というような場合には、それらの業務内容も追記しておくとよいでしょう。

具体的な事例を次に挙げます。

損害保険代理店(株式会社)の定款の例

例えば、株式会社の定款の例は以下です。

  1. 会社の商号:会社の名前を記載
  2. 事業目的:上記の業務などの記載
  3. 本店の所在地
  4. 公告の方法:法令上の根拠にもとづいた公的な情報を利害が発生する相手に向けて、お知らせするもの(例:官報に掲載)
  5. 発起人の氏名又は名称及び住所:出資:資本金の金額などはここにあたります
  6. 社員の責任
  7. 持株の譲渡
  8. 競業の禁止及び介入権
  9. 業務執行:事業戦略の決定、予算の編成、生産計画の策定など
  10. 業務を執行する社員
  11. 業務及び財産状況の報告
  12. 報酬:報酬体系
  13. 代表社員:代表社員の氏名
  14. 加入:社員の入社などについて
  15. 退社:退社に関すること
  16. 事業年度:◯月◯日から◯月◯日を年1期とするなど
  17. 利益の配当
  18. 利益又は損失の配分:利益や損失が出た場合の対処方法など
  19. 定款の変更:定款の変更の仕方
  20. 最初の事業年度
  21. 定款に定めのない事項:定款に書かれてないことをどうやって決めるか?など

資本構成について

資本構成とは企業が使用している総資本の構成内容のことです。総資本と自己資本の割合、自己資本と他人資本の割合などを指します。

保険代理店を設立する際に、複数人で設立されることが多いと思います。その場合、必ず一人に過半数の株を寄せておくべきです。

例えば、二人で会社を設立する場合には、必ず過半数をご自分が持たれてください。なぜなら、意思決定ができなくなる可能性があるからです。

ここで注意が必要なのですが、過半数というと50%だと認識しているひとも、いるのではないでしょうか。過半数とは、50%を超えることを意味しますので、比率が51対49になるようにします。

創業当初どんなに仲が良いメンバーで、株を分け合っていたとしても、将来的に事業の方向性の違いや能力の違いが現れてくる可能性があります。

そういった場合に、会社として意思決定ができなくなってしまい、分裂を防ぐために、持分比率を一人に寄せておくべきと言われています。

定款の変更にはお金がかかる?

謄本の内容を変更が必要になった場合、定款から変更が必要です。定款の変更は株主総会を開き、その議事録を法務局に持っていって手続きする必要があります。

登録免許税として3万円費用がかかります。例として商号の変更や、事業目的の変更、本店の住所の変更、公告方法の変更などです。

まとめ

保険代理店設立時に注意することとしては、まず、定款を作ります。その際、資本構成をしっかり考えます。

上記の内容を参考にし、目指す、保険代理店を設立してください。