こんにちは、保険代理店向けに顧客管理システムを開発している株式会社hokanのメディア運営チームです。
昨今、保険業界でも「DX」、「デジタル化」を推進しようと言う機運が高まっています。今後保険代理店においては、日々蓄積される顧客情報や対応履歴をどのように活用するかが重要と考えています。
今回は、保険代理店とデータをテーマに株式会社hokanの尾花がお話しいたします。
運転の仕方で保険料が変わる自動車保険を提供するROOTという米国の保険会社が上場しました。上場して1ヶ月ほど経ったタイミングで約4000億円の時価総額をつけており、株式市場においても注目されていることが窺い知れます。
ROOTは何がすごいのでしょうか。そして、今後このような保険会社が続々と登場する中で、保険代理店はどのような役割を果たしていけば良いのでしょうか?
スマホアプリで運転状況をモニタリングして最適な保険料を算出

ROOTはスマホで加入する自動車保険を提供する保険会社です。ユーザーはROOTのアプリをインストールしたスマホをもって、2〜3週間運転します。
スマホのセンサーによって運転状況がモニタリングされ、ユーザーにあった保険料が提示されます。この際、特に危険な運転をしているユーザーは排除されます。リスクが著しく高い10〜15%のユーザーは事故の確率が通常のユーザーの2倍に上るためです。
特に危険なユーザーを排除した上で、それ以外のユーザーには運転状況に応じた保険料が提示されます。
その後も、運転状況を踏まえて、保険料は調整されます。
ROOTについての参考:スマホで運転挙動を評価する自動車保険「Root Insurance」が390億円調達
個々人のリスクに最適化された保険の提供が進む未来
ROOT以外にも、アプリで火災保険を提供するLemonadeという会社も米国で上場しました。
Lemonadeも入力された住所から建物の情報を検索し、その建物の築年数・建物の耐久性・海岸からの距離・消防署からの距離などでもって、保険料を最適化しています。
ROOT、Lemonadeなどの企業がやろうとしていることは「データを活用して個々人のリスクに最適化した保険を提供する」ということです。データを活用することの利点は、データが集まれば集まるほど保険料算出の精度が向上することにあります。
例えば、ROOTは直近3年間で111%から85%まで着実に損害率を下げており、保険契約者も保険会社も特になる非常に合理的な仕組みを構築しています。
いつになるかは分かりませんが、日本においてもこの未来は確実にやってくると考えています。
データ時代に目指すべき代理店経営像

データを用いて個々人のリスクに最適な保険が提供される時代が近づく中で、保険代理店としてはどのような経営を目指せば良いのでしょうか。
ポイントは4つあります。
- デジタル前提の仕事環境
- 顧客情報/契約情報/対応履歴等を全社共有
- チームでの最適な役割分担
- データをもとにした経営改善
①デジタル前提の仕事環境
まず、「デジタル前提の仕事環境」です。とある米国の代理店では募集人一人一人に2台のモニター、1台のPC、1台のタブレットを支給しているようです。紙やExcelの利用もデータが分散する原因になってしまっていますので、一元管理可能なシステムを用いるのが理想でしょう。
②顧客情報/契約情報/対応履歴等を全社共有
デジタル前提の仕事環境が整うと、「顧客情報/契約情報/対応履歴等を全社共有」することができます。情報が共有されていると、顧客対応が属人化しません。とある代理店では「万が一のことがあったときの保険を提供する立場である以上、募集人に万が一のことがあったときに他の誰かが対応できるよう、システムに顧客の家族関係から趣味まで入力させている」とおっしゃっていました。
③チームでの最適な役割分担
さらに情報が共有されると、「チームでの最適な役割分担」をすることができます。前述の米国の代理店では既契約フォロー専門のチームをつくっています。既契約フォローをやりながら新契約を獲得するのは非効率と考えたそうです。新契約の獲得が得意な人は新契約の獲得に集中し、既契約のフォローが得意な人は既契約フォローに集中する。
また別の代理店では、保険種類ごとに得意な募集人が異なるので、協力することでお客様の課題を総合的に解決することに取り組んでいました。
④データをもとにした経営改善
デジタルの活用が進むと「データをもとにした経営改善」を実施できます。特に経営において重要な指標が常にモニタリングされていることが重要です。
指標ごとの目標と実績の差分をみて、速やかに改善策を立案・実行します。
データを用いて代理店経営を継続的に進化させ、人が人らしく働ける環境をつくる
データが集まれば集まるほど進化するのは、何もAIだけではありません。データが集まり、それを活用できる環境が整えば、人も進化できます。
弊社が開発している顧客管理システム「hokan」を例に紹介いたします。
hokanでは見込顧客の管理から、意向把握などの業法対応も含めた商談記録、保全対応まで全ての業務を実施することができます。保険会社のシステムにアクセスしなければならない部分もあるのですが、思想としては「hokan 1つで全ての業務が完結する状態」を目指しています。また、豊富な検索条件を設けていますので、今ご連絡すべきお客様を瞬時に一覧に出すことができます。
デジタルをフル活用することで、人が人でしかできない仕事に集中できるような状態を作れるような支援をできればと考えています。
お客様に家族のように寄り添い心を通わせる、保険やその周辺領域に関する総合的な知識でもってより深くお客様の課題を解決する、保険を届ける使命感を組織に伝播させて仲間を増やす。
人が人らしく生き生きと働けるようにするためにも、テクノロジーの力を活用していきましょう。